クワガタを飼うための「レンタルスペース」とは?
クワガタを販売するお店の一部では、クワガタを飼うための「レンタルスペース」というサービスを提供しています。ここで言うレンタルスペースとは、成虫あるいは幼虫を飼育するための小さなスペースを月単位で課金して貸し出すサービスのことです。誰がこんな小さなスペースにお金を払うのだろうと不思議に思われるかもしれません。しかし、実際には一定のニーズがあるようです。
以下のリンクで、レンタルスペースの写真を見ることができます。
ランバージャック(東京)
このお店の場合、貸し出し料金は以下のようになっています。
4,500 円/月、W900×D450×H600 (mm)
6,800 円/月、W900×D450×H900 (mm)
借りる人の事情はいろいろだと思いますが、借りる理由の多くは次の2パターンのうちのいずれかであると私は想像しています。①家族に反対されて、家でクワガタを飼うことができなかった、②外国産クワガタを飼うためにエアコンが必要だったが、家でその環境を準備できなかった、です。
①家族に反対されて、家でクワガタを飼うことができなかった
もし家族と一緒にクワガタを飼うことを楽しめれば、それが一番です (参照1には、そのような家族が描かれています)。しかし好みは人それぞれですので、そうもいかないのが現実です。クワガタムシ、もっというと虫全般が嫌いな人は多いですし、ショウジョウバエ(飼育ケージからよく発生します)が問題になるかもしれませんし、飼育ケージから漂う臭いが嫌われるかもしれません。家族の要望と、それでもクワガタを飼いたいという情熱に折り合いをつける選択肢として、レンタルスペースを使う人はいるでしょう (参照2-4では、虫好き・虫嫌いについてのアンケート調査の結果が報告されています)。
②外国産クワガタを飼うためにエアコンが必要だったが、家でその環境を準備できなかった
日本より気温の高い地域が原産のクワガタを飼うには、冬場のエアコンが必要になることがあります。越冬能力を持たない種類のクワガタは、室内とはいえそのままでは日本の冬を越えられないのです。もう1つのケースとして、夏場の高温によって死んでしまうのを避けるためにエアコンを必要とする種もあります。どちらのケースでも、エアコンを24時間つけっぱなしにする必要があります。このような環境を用意できない、でもある種のクワガタを飼いたい、という人にはレンタルスペースは魅力的でしょう。
レンタルスペースを提供するお店はwebを見る限りそれほど数は多くありませんが、都会に限らず地方にも点在します。私がweb上で確認した限りでは、東京都、大阪府、愛知県、石川県、長崎県に、クワガタ用のレンタルスペースを提供するお店があります。ニーズは全国にあるようです。
参照
1. (英語記事)The Japan Times, Sep 30, 2001
2. 虫が苦手な人6割超 (回答数1,000、マイナビニュース (2012))
3. 男子大学生の46%が虫好きだが、女子大学生の虫好きは23%にとどまる (回答数130、男女比不明、九州大学(2012))
4. 男子小学生の85%が虫好きだが、女子小学生の虫好きは35%にとどまる (回答数230、男女比50:50、岐阜大学(2007))