『世界一うつくしい昆虫図鑑』 ?>

『世界一うつくしい昆虫図鑑』

きれいな昆虫が好きな方には『世界一うつくしい昆虫図鑑』(宝島社、2014年)をおすすめします。美しいパターンに並べられた色とりどりの昆虫を、実際と同じ大きさで見ることができます。

この本を買って、私は何種かの昆虫への見る目が変わりました。たとえば、もともと私はカナブンに魅力を感じていませんでした。日本ではあまりにも身近で、しかもそれほど美しいとは思えなかったからです。しかし、この本に出てくるカナブンは日本のものにはない金属のような光沢があり、後に述べる著者の工夫もあって装飾品のように見えます。同様に、それまで地味な印象のあったゾウムシも、カラフルな種の登場によって私の一方的なイメージを覆してくれました。

著者クリストファー・マーレー氏は、このような魅力的な作品を制作しているにもかかわらず、もともとは昆虫が大嫌いだったそうです。なぜ虫嫌いの彼が昆虫に興味を持ち始め、作品に使うようになったのかについての物語は、この本の中で紹介されているので興味のある方はぜひ読んでみてください。

昆虫への見方が180度変わった著者の体験から、彼の作品をユニークなものにする1つの気づきが生まれます。彼の作品の中には、本書の表紙に見られるように脚が体の下にしまわれたポーズの昆虫がよく登場します。これは、「昆虫の脚こそが、虫嫌いを怖がらせるもとだ」と彼が信じているからです。

「昆虫の脚のせいで、見る人が不安になるのです。髪にまとわりつくのも脚だし、その生き物を恐ろしいスピードでこちらに運んでくるのも脚です。チョウやダンゴムシ、テントウムシが無害に思えるのは脚が目立たないからだし、クモがどこに行っても嫌われているのは、それと逆の理由なのです。」(本書p.68)

もともと虫嫌いだった著者ならではの考え方だと思います。実際、この工夫によって本書が魅力的なものになっていると感じます。

彼はこの後、『Biophylia』(洋書)という本を2015年に出版しています。

この本を買ったら、また今回のようにこのブログでレポートするかもしれません。

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