ヨーロッパの言い伝えに登場するクワガタムシ
以下のBBCの動画を見てください。このヨーロッパの言い伝えに登場するクワガタは、現在の日本の私たちが持つイメージとはちょっと違うようです。 “A stag beetle’s history of Britain” (BBC) … 下の動画が再生できない場合、元のウェブサイトで見ていただくことで解決するかもしれません。
*この動画はBBCの”Terms of Use“に従ってアップロードしています。
“Back in the middle ages, the stag beetle was seen as a thing of the devil, emanating from the depth of hell, accompanied by fire.” 中世ではクワガタは、炎をまとって地獄の底から現れる、悪魔のものと見られていました。
“Legend says they could summon the lightning.” 伝説では、クワガタは雷を呼ぶと言われていました。
“They could carry a burning coal in their antlers to do the devil’s work” 彼らは大あごに燃える石炭を運び、悪魔のしわざ(=放火)をしました。
他にはどのような言い伝えがあるのでしょうか? 以下、主にヨーロッパにおけるクワガタ(ヨーロッパミヤマクワガタ)についての言い伝えを調べてみました。
余談ですが、ヨーロッパミヤマクワガタについての文化をまとめた本”Lucanus cervus depictus“がカバーしている範囲の広さに改めて驚かされました。
クワガタは雷を呼ぶ
“Names such as Donnergueg (thunder abetting) or Donnerschröter (thunder spreader) indicate that stag-beetles attract lightening and, were therefore baned from entering the home.” Donnergueg(雷をあおる者)やDonnerschröter(雷を広げる者)といった呼び名は、クワガタが雷を呼び寄せることを物語っている。これを信じて人々はクワガタを家に入れることを避けた(”Lucanus cervus depictus” – グリム童話のグリムが書いたDeutsche Mythologie (1935)より引用)。
– ドイツ: “Lucanus cervus depictus”より
– 西ヨーロッパ: “Beetles“より – イギリス: リッチモンドパークのウェブサイトとBBCより
クワガタは雷神”Donar” (“Thor”) の使者である
“Scientists assumed a parallel between the stag beetle and the Germanic god Donar or Thor, the god of thunder and protector of the harvest.” 雷神であり収穫の守り神であるドイツの”Donar”(Thor)とクワガタを類似するものと推測した(”Lucanus cervus depictus” – グリム童話のグリムが書いたDeutsche Mythologie (1935)より引用)。
– ドイツ: “Lucanus cervus depictus”とリッチモンドパークのウェブサイトより *ヨーロッパの神話に登場するクワガタの逸話については、こちらのウェブサイトでとても詳しく紹介されています。
クワガタを持っていると雷避けになる
“They believed that a stag beetle head worn on a hat provided protection from lightning and the evil eye.” クワガタの頭を帽子の中に入れていれば雷避けになり、また厄除けになると信じられていた(”Lucanus cervus depictus” より引用)。
– フランス(ヴォージュ地方): “Lucanus cervus depictus”より – ドイツ: “Lucanus cervus depictus”とリッチモンドパークのウェブサイトより
クワガタは燃えた石炭を運び火事を起こす
“The terms Feuerschröter (fire spreader) or Hausbrenner (House burner) testify for the widespread belief that stag beetles, by carrying coals from the hearth up to the attic with their strong mandibles, were responsible for the frequent domestic fires during this time period.” クワガタが石炭を大あごにはさんで火床(いろり)から屋根裏へと運び、当時頻発していた火事の原因となっていると広く信じられていた。Feuerschröter(火を広げる者)やHausbrenner(家を燃やす者)といったクワガタの呼び名はこの証拠である(”Lucanus cervus depictus” より引用)。
– イギリス: リッチモンドパークのウェブサイトとBBCより
– ドイツ: “Lucanus cervus depictus”より – 西ヨーロッパ: “Beetles”より
クワガタの大あごを身に着けておくと厄除けになる
“The evil eye could be warded off in Rumania by wearing the horns of the stag beetle and woman wore them in their braids for protection.” ルーマニアではクワガタの大あごを身に着けておくと厄除けになるとされた。女性はそれをお守りとして三つ編みの髪につけた(”Lucanus cervus depictus” より引用)。
– ルーマニア: “Lucanus cervus depictus”より – トルコ: “Beetles”より
クワガタをポケットに入れておくとお金が貯まる
“A stag beetle in the pocket in northern France, brought wealth or luck in the lottery to the bearer.” フランス北部では、クワガタをポケットに入れておくとお金が貯まるとか宝くじの運気が上がるとか言われていた(”Lucanus cervus depictus” より引用)。
– フランス北部: “Lucanus cervus depictus”より
2 thoughts on “ヨーロッパの言い伝えに登場するクワガタムシ”
Dear Sir,
I am writing a book on stag-and rhinoceros beetles. I would lke to refer to your publications, but I don’t know your exact name. Please let me know what it is. Is it Susukake Kusami?
Best regards,
Dr. George Hangay
Dear Dr. George Hangay,
Thank you very much for posting your comment on my blog post. I will reply to your e-mail address separately.
Best regards,
Suzukake