豊橋市自然史博物館にて、特別企画展「武器甲虫ークワガタ、カブトの進化を探る」が開催されています(会期：2017年7月14日～9月3日)。

参照：公式サイト、新聞記事

500種類以上の標本が展示されており、また雌雄モザイクの生体もあり、とても見ごたえのある企画展でした。

今回の投稿では、この企画展の展示解説本『クワガタムシ、カブトムシ学の最新研究』(発行：豊橋市自然史博物館)をご紹介します。

(豊橋市自然史博物館の許可を得て画像の掲載をしています。)

とても充実した内容です。

研究者の方々が執筆されていますが、かといって難解になりすぎることなく書かれています。クワガタ・カブトの「なぜ？」について、最新の知見に基づいて適度なボリュームで解説されているという印象です。

「難解になりすぎることなく」と書きましたが、本書は研究内容を紹介したものであり、大人向けの内容です。しかし、大人の解説次第では子どもも理解できる部分があるかもしれません。

下の3つの報告は結果が比較的イメージしやすいため、虫好きな子どもたちが生物学の研究に興味を持つきっかけになってくれるといいなと思います。

「武器形質を作る遺伝子」
カブトムシのツノと、遺伝子の関係を解説しています。ツノを作るのに重要な遺伝子の働きを抑えると…？

「武器甲虫に見られる栄養依存的な武器形質発現～大きな個体が大きな武器を作るしくみ～」
クワガタの大あご・カブトムシのツノと、ホルモンの関係を解説しています。意外なことに、ヒトの体内でも活躍するホルモンが登場します。

「ノコギリクワガタの闘争行動ークワガタだって負けると落ち込む？ー」
ケンカに負けたクワガタが、しばらく次の戦いを避ける(落ち込む)現象の謎にせまります。特別な機器を使わないため、一般家庭でも似た実験ができそうです。

上記とは別に、個人的にもっとも知的好奇心が満たされたのは以下の報告です。
「クワガタムシ、カブトムシの栄養生理」
体を構成するのに必要な窒素を幼虫がいかにして餌から獲得してきたか、進化的な観点から考察した内容です。

購入方法
本書は豊橋市自然史博物館にて販売されています。また、郵送でも販売しているそうです。

http://www.toyohaku.gr.jp/sizensi/06shuppan/syuppan/syuppan-kaikata.html
企画展が終わっても、在庫がある限り販売は継続されるそうです。

ご興味がありましたら読んでみてください。

（宣伝一色の説明になってしまいましたが、私は豊橋市自然史博物館と利害関係はありません。）