クワガタはどのように人気のペットになったのか(後半) ?>

クワガタはどのように人気のペットになったのか(後半)

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3. 人気の昆虫としての地位を確立(1970年代半ばから
この時期になると、クワガタ(とカブトムシ)だけで1冊の本が出版されるようになります。絵本、図鑑、漫画、とかたちはさまざまですが、いずれも生態や飼い方について豊富な写真とともに詳しく紹介されています。私が確認したもののうち、いま読んでも楽しいと思えたものをいくつか紹介します。

『カブトムシ・クワガタのひみつ』、林夏介、学習研究社、(1976)
クワガタムシ、カブトムシをモチーフにした世界の切手が表紙裏に紹介されています。

『決定版カブトムシ・クワガタムシ:たのしい採集と飼育大作戦』 、勝屋志郎、 双葉社、(1980)
カブトムシ・クワガタムシともに生態、飼い方、文化、撮影方法の視点から充実した内容です。

『クワガタムシ:最新図鑑 増補改訂』、山口進、双葉社、(1985)
外国のクワガタムシ採集について1ページ触れています。また、種の見分け方、分布、保全、進化、世界のクワガタムシの標本が見れる国内の博物館リスト、と幅広いです。

『日本のクワガタムシ』、藤田宏、講談社、(1985)
日本のクワガタ各種について、大型個体から小型個体まで豊富な標本写真を掲載する美しい図鑑です。

4. オオクワガタ、大人をクワガタの世界に引き込む (1980年代半ばから
謎に包まれていたオオクワガタの生態が徐々に明らかになり、オオクワガタに注目が集まります。これをきっかけにして、クワガタ飼育は子どものものから、大人も子どもも楽しむものへと変わっていきます。

『おおくわがた:神秘のくわがたむし』、山口進、小学館、(1984)

写真家の山口進氏による著書。野生のオオクワガタを2年間撮影し続け、その後、同個体を自宅にてさらに3年間飼育した記録です。野生のオオクワガタの写真の数々がとても魅力的です。

『月刊むし オオクワガタ特集号』、むし社、(1986)

日本で初めてクワガタを特集した雑誌ではないでしょうか。紹介されている幼虫の飼育法はそれまでの「どう飼うか」を超えて、「いかに大きく育てるか」で、明らかに質的に違う内容です。今回私は、古い文献からクワガタの飼育法を追って調べてきたため、当時の読者の方が本誌から受けたであろう衝撃を追体験できた気がしました。

本誌の記事で小島氏はオオクワガタを飼い始めて5年目とあります。インターネットが普及していない情報の集めにくい時代にあって、少数の方々が独自に試行錯誤をされてきたことが伺えます。

『クワガタムシ飼育のスーパーテクニック』、小島啓史、むし社、(1996)

日本産の主要なクワガタムシ各種の生態、飼育方法について詳細に書かれており、現在でも評価の高い本です。

5. 外国産クワガタムシの輸入解禁(1999年から)
1999年の外国産クワガタムシの輸入解禁で、外国産クワガタムシの市場も広がり、飼育方法も開拓されていきました。しかし切り口が色々とあり、また私の知識も不十分なため、今回は解説対象外とします。別の機会に調べて紹介したいと思います。

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