カナブンを使った3Dゾートロープ
パラパラ漫画のように、少しずつ形の違う絵や物が同じ場所に次々に現れると、私たちの目はそれらがあたかも動いているように錯覚します。特に、3次元の物を使った作品を3Dゾートロープと呼びます。今回、同じ原理を使って、どんぐりに登ったカナブンが転げ落ちるかのように見える作品を作りました。
*Maker Faire Tokyo 2018(2018年8月4、5日@東京ビッグサイト)にこの作品を出展します。チーム名はIgnoramusです。
→Maker Faire Tokyo 2018 1日目、100名を超える方にご覧いただきました。ありがとうございました。
以下、制作過程を紹介します。まず、全体像はこちら。
以下、それぞれの過程を見ていきましょう。
1. 昆虫標本をつくる
連続するポーズの昆虫標本を作ります。
昆虫標本は壊れやすいため、樹脂で固めます。
*これまでの樹脂埋め標本に関連する投稿
樹脂埋めの方法と準備するものについてはこちら。
半球型樹脂で標本がゆがんで見える現象についてはこちら。
標本がゆがんで見える現象の光学的な考察はこちら。
2. 標本をLPレコード上に均等に並べる
今回は10体の標本を並べました。
3. LEDを点滅させる回路をつくる
Arduino UNOに接続して、LEDの点滅頻度を制御します。Arduino UNOは小さい電流しか扱えないので、トランジスタを使うことで、標本を照らすのに十分な明るさのLEDを制御しました。
4.スケッチ(プログラム)を書く
Processingというプログラミング言語でコードを書き、Arduino UNOを介してLEDを制御します。スケッチ(プログラム)は、Arduinoをはじめよう 第3版 (Make:PROJECTS)(アマゾンのサイトにリンクします)などの教科書に紹介されている、LEDを点滅させるためのごく初歩的なものを使っています。
const int LED = 13;
void setup() {
pinMode(LED, OUTPUT);
}
void loop() {
digitalWrite(LED,HIGH); //ON
delay(1);
digitalWrite(LED,LOW); //OFF
delay(132);
}
* (興味がある方向け) ON:OFF = 1:132の背景
レコード盤の回転速度を45 rpm、標本を10体としたとき、ON:OFFの頻度を1:132としました。計算の過程は次のとおりです。
標本が動いているように見える錯覚を起こすためには、1つの標本が隣の標本の位置にきた時にだけLEDが光ることが必要です。
まず、 1つの標本が隣の標本の位置にくるまでの回転数は当然、1/10回転です。次に、45 rpm(回転/分)を秒単位に直すと0.75 rps(回転/秒)です。したがって、 1つの標本が隣の標本の位置にくるまでの時間は0.133秒(= 1/10/0.75)です。錯覚をシャープな像にするためには、ONの時間をできるだけ短くする必要がありますので、ON:OFFを1:132としました。
他の回転速度、標本数でも同じ計算をすることでちょうどよい設定時間を求めることができます。
5. 暗室でLEDを点滅させLPレコードを回転させる
作製過程と完成版を示した動画はこちら(完成品は0:36から)。
2 thoughts on “カナブンを使った3Dゾートロープ”
I saw your project at Maker Faire, it was great!
Hi Amber, thank you for coming! It was a wonderful opportunity to hear feedback from you all.