研究者が明かす樹脂埋め標本の作り方(論文紹介)
最近、昆虫の樹脂埋めの方法について専門誌に論文が出ていましたので紹介します。
Bejcek, J. R., Curtis-Robles, R., Riley, M., Brundage, A., Hamer, S. A., & Hamer, G. L. (2018). Clear Resin Casting of Arthropods of Medical Importance for Use in Educational and Outreach Activities. Journal of Insect Science, 18(2), 34.
以下、こちらの論文のポリシーの範囲内で掲載しています。
論文の位置づけは
「節足動物には感染症を媒介するものがいる。この感染症を抑えるためには、感染症を媒介する節足動物を正確に同定できる専門家の養成が必要だ。同じように、感染症を広げる節足動物が身近に生息する場合は、その節足動物を見分けられるようにする一般向けの教育普及活動も大切だ。」
「樹脂埋めした標本は節足動物の特徴を観察できるだけでなく、標本の強度が高まり、さらに感染症にかかるリスクを最小化できる方法である」
だそうです。
ステップは以下のとおりです。詳細は論文を見てください。
- Specimen Preparation(標本の準備)
- First Layer of Resin(1層目の樹脂の流し込み)
- Adding Specimens(1層目の樹脂への標本の配置)
- Second Layer of Resin(2層目の樹脂の流し込み)
- Cutting(樹脂カット)
- Sanding(紙ヤスリ研磨)
- Buffing and Polishing(バフ研磨)
後半のカットと研磨には本格的にマシンを使っています。趣味のレベルではここまではできませんね…
著者らが親切なのは、マシンも含めて必要経費を公開してくれているところです(論文中Table 1.)。総額$558.63だそうです。会社や研究室の経費で買えるなら悪くない価格です。
ちょっと興味があるのは著者らが採用している樹脂TAP Clear-Lite Casting Resin (TAP Plastics, San Leandro, CA)です。
透明度が高そうなことははもちろん、1ガロン(3.8L)$84.25とは格安。私が使ったことのあるクリスタルレジンNEOは1.5L(主剤1kg硬化剤0.5kg)で8000円ほどします。
TAP Clear-Lite Casting Resinはamazon.comで売っているものの、残念ながら日本へは発送していないようです。米国在住で樹脂埋め標本に興味のある方は試されてもよいかもしれません。
(このブログでの樹脂埋め標本の他の記事はこちら:たんぽぽの綿毛の樹脂封入、大人の自由研究:半球型樹脂でクワガタ標本がゆがんで見える理由(初級編)、大人の自由研究:半球型樹脂でクワガタ標本がゆがんで見える理由(上級編))
2 thoughts on “研究者が明かす樹脂埋め標本の作り方(論文紹介)”
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Hi Thomas, thank you for your offer. Unfortunately I do not have a business to sell my specimens. I would recommend you to visit website like eBay and search “stag beetle”. You will find specimens molded in resin, as well as dried specimens.